厚生労働省がメトホルミン塩酸塩における発がん物質の検出に対する対応についての連絡

メトホルミンのパンフレット

厚生労働省がメトホルミン塩酸塩における発がん物質の検出に対する対応について連絡

令和元年 12 月9日、厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課  厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課はメトホルミン塩酸塩における発がん物質の検出に対する対応について連絡を出しました。

シンガポール保健科学庁(HSA)より、ビグアナイド系経口血糖降下薬であるメトホルミン塩酸塩(以下「メトホルミン」という。)を含有する製剤 から発がん性物質である N ‐ニトロソジメチルアミン(以下「NDMA」という。) が検出されたことに伴い、シンガポールの一部の事業者が当該製剤の自主回収 に着手した旨が公表されました。

メトホルミン塩酸塩における発がん性物質に関する分析について(依頼)より

今回の通知を出した経緯としてシンガポール保健科学庁よりメトホルミンが含有する製剤からN‐ニトロソジメチルアミンが検出され、シンガポールの製薬メーカーが自主回収に着手したことで今回の通知が発表されました。

NDMAが検出された原因については、現在、米国食品医薬品局、欧州医薬品庁など協力して調査を進めています。

厚生労働省の対応は?

厚生労働省はメトホルミンを含有する製剤を製造販売しているメーカーに次の3点を報告するよう指示をしています。

  • 有効期限内のメトホルミンを含有する製剤及び原薬についてNDMAの分析
  • 原薬の製造所ごとに、NDMAの混入リスクの有無及びその根拠
  • NDMA等の生成原因として可能性が指摘されている物質やその混入リスクの有無及びその根拠

報告の期限として令和元年12月27日までとしています。

シンガポール保健科学庁では検出されたNDMAの量は一日許容摂取量(0.0959µg/日)を 上回るものの極微量としています。

現時点では日本国内のメトホルミンを含有する製剤からNDMAは検出されていませんと厚生労働省は言及していますが、分析結果により回収になるかどうか判断が下されるのだと思います。

メトホルミンを含有する製剤を服用している方等への対応

厚生労働省はメトホルミンを含有する製剤を服用している方等への対応について服用を中止しないよう注意喚起をお願いしています。

メトホルミンの構造式を見てみる

メトホルミンの構造式

メトグルコ250mg、メトグルコ錠500mgのインタビューフォームより

構造式を見る限り窒素があるので効率よく製造するなら硝酸、亜硝酸、亜硝酸塩など使用していると思います。

その場合、N ‐ニトロソジメチルアミンは副産物として生成される可能性があります。

硝酸、亜硝酸、亜硝酸塩を使用しないで時間をかけて製造するならN ‐ニトロソジメチルアミンが生成される可能性は少ないと思います。

問題はN ‐ニトロソジメチルアミンがどのくらい入っているかが問題になると思います。

メトグルコの名称の由来

一般名の「Metformin:メトホルミン」+導入先であるMerck Santé 社(フランス)の販売名「Glucophage:グルコファージ」

メトグルコ250mg、メトグルコ錠500mgのインタビューフォームより

今後どうなるか・・・

今度どうなるかわからない状況です。

今年は N ‐ニトロソジメチルアミンの件でラニチジン製剤の回収がありました。

もし メトホルミンを含有する製剤 が回収となるとラニチジン製剤よりも服用している患者は多いので大きな回収になります。

報告の期限は令和元年12月27日です。

2020年4月27日にメトグルコ錠250mg、メトグルコ錠500mg、メトホルミン塩酸塩錠500mg MT「JG」が自主回収になりました。

 

 

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