メサフィリンが製造中止になります。
販売中止時期は2019年4月、経過措置期間は2020年3月までの予定になっています。
目次
メサフィリンの歴史
メサフィリン®配合散は1953年にメサフィリン®配合錠1954年に販売されました。
名称の由来
プロメサンテリンブロマイド(プロパンテリン臭化物の別名)の「メサ」と銅クロロフィリンナトリウムの「フィリン」を合わせて「メサフィリン」と命名した。
メサフィリン 医薬品インタビューフォームより
メサフィリンの思い出
十年前位に勤めていた調剤薬局の門前では炭酸水素ナトリウム、ゲンチアナ末、ジアスターゼとメサフィリンの混合を処方するクリニックがありました。
予製を作らない方針の調剤薬局でしたが、この処方の頻度が高いのと分包機が汚れコンタミネーションしてしまうので予製として作ることになっていました。
予製を作った後は洗えるものは水で洗浄し、その後アルコール洗浄、洗えないところは掃除機で吸い取り、炭酸水素ナトリウムで分包機を2回ほど流したあとでも確実にコンタミネーションがないとは言えませんでした。
3回は分包機を炭酸水素ナトリウムで流し、掃除をしていました。
少し話がずれますが、数十年前に病院で勤務した時は抗がん剤の顆粒や粉末を分包した後は必ず3回は炭酸水素ナトリウムで流し、コンタミネーションしないように気を付けていました。
現在は抗がん薬を扱う医療従事者の曝露も研究され、陰圧で調剤するなど環境が整ってきたと思います。
昔、メサフィリン配合散はバラ包装があり、(メサフィリン末と当時は言われていました)湿気に弱い薬なので大量に作れなく、午後に診療がない時に一週間に1回予製を作っていました。
メサフィリン末の予製を作ると空中に飛散しマスクを着用していましたが、必ずと言っていいほどマスクと顔との間などや夏は顔全体にメサフィリンが付き結構萎えました。
私は男性なのですぐに顔を洗えますが、当時の管理薬剤師や先輩は女性だったので大変だったと思います。
分包機の周りはもちろん、監査台などを拭けば緑色になり掃除が大変だった思い出です。
このメサフィリンの約束処方は患者さんの評判がよくこの薬を求めてクリニックに行く患者さんもいました。
服用するとすっきりして調子が良い、お腹が空くようになったなど印象が良い面もありましたが、中には苦くて服用できないという人や臭いが嫌だという人もいてオブラートをすすめたりしてどうにか服用してもらうように努めていました。
お通じが・・・。
メサフィリンを服用しはじめた70代の女性から電話があり、お通じが緑色になっているのだけど大丈夫ですかと電話がかかってきました。
お薬でお通じの色が変わることを説明したら安心して頂きました。
後日病院にかかり薬局に来た際にお話ししたところびっくりして思わず電話してしまったそうです。
あとから考えれば薬の色だと思うが、緑色のお通じを見て動転してしまったとおしゃっていました。
それ以来お通じの色が変わる説明をするようにしました。
メサフィリンの禁忌
禁忌 (次の患者には投与しないこと)
1.緑内障の患者〔抗コリン作用により眼圧を上昇させるおそれがある。〕
2.前立腺肥大による排尿障害のある患者〔抗コリン作用により排尿障害を悪化させるおそれがある。〕
3.重篤な心疾患の患者〔心疾患の症状を悪化させるおそれがある。〕
4.麻痺性イレウスの患者〔麻痺性イレウスの症状を悪化させるおそれがある。〕
メサフィリン配合散 添付文章より
メサフィリンの禁忌項目に当てはまる患者さんは必ず疑義紹介をしました。
緑内障を患っている事を言わない患者さんが結構いるので疑義紹介の頻度は多かったです
日頃からコミュニケーションをとっていた医師だったので疑義紹介に関して薬を変更して頂きました。
話は変わりますが疑義紹介は薬剤師として重要な仕事の一つです。
私の個人的な考えですが、日頃から医師との信頼関係ができていないと医師に意図がうまく伝わらない時があると思っており、医師とのコミュニケーションは最重点においております。
どのメーカーも採算が合わない薬は製造中止になると思います。
また一つ思い出の薬が消えていくのは寂しい気持ちです。
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