健保連は2016年10月から18年9月診療分の加入者のレセプトデータをもとに分析を行い2019年8月23日に「次期診療報酬改定に向けた政策提言」について発表しました。
ニュースでは花粉症治療薬の保険適用からの除外する事や自己負担を引き上げする提案が大きく取り上げられました。
他にも健保連が提案したものがあります。
健保連が提案したのは、以下の5項目です。
調剤報酬のあり方についても提案しています。
この提案をみるとかなり調剤薬局に対しての風あたりが強い印象です。
以前から言われていましたが、ここでも対物業務から対人業務へのシフトへの事が書かれています。
目次
・ 全処方箋の 78 %に門前薬局以外を想定した調剤基本料 1 が算定されているが、全処方箋の8割以上が医療機関と同一番地または250m圏内の薬局で調剤されていた。
「政策立案に資するレセプト分析に関する調査研究 」 より
全処方箋の8割以上が医療機関と同一番地または250m圏内の薬局で調剤されていたと書いていますが、同一番地がかなりの割合を占めているなら少し納得します。
しかし、同一番地または250m圏内で8割っていうのは8割という数字を合わせにきたのではないかと疑ってしまいます。
政策立案に資するレセプト分析に関する調査研究の資料によりますと、調剤基本料1の同一番地内は51,5%、250m圏内は30.3%、250m超は18.5%の割合です。
なんで、250m圏内で計算したのか説明してほしいです。
複数の医療機関を受診した患者のうち、1つの薬局のみ利用している患者、すなわち、かかりつけ薬局を持つ患者の割合は4.5 %にとどまった。
「政策立案に資するレセプト分析に関する調査研究 」 より
現在、かかりつけ薬局を持つ患者の割合が少ないのは調剤薬局に対して利便性を求める人が多いことが数字に表れていると思います。
複数医療機関にかかる患者さんは自分の家から近い薬局や日常よく通る薬局をかかりつけ薬局にすれば利便性が高いですが、もし家から離れた薬局だと高齢者をはじめ患者さんにとって不便です。
病院やクリニックからすぐ近くの門前薬局に行く方が、利便性が高いと思います。
ただ、かかりつけ薬局、かかりつけ薬剤師のメリットはあります。
薬の重複や相互作用を確認しやすく、患者さんのバックグラウンドなど含めた服薬指導ができると思います。
薬剤服用歴管理指導料は全処方箋の98 %にルーチン的に算定されており、同指導料が算定されている処方箋の24 %は処方薬が1剤のみだった。
「政策立案に資するレセプト分析に関する調査研究 」 より
調剤薬局としても利便性を高めるためルーチン的に仕事をしてしまいます。ルーチン的に算定と指摘されてその通りだと思います。
ただ、そのルーチンワークの中で従来の対物を中心とした業務から、患者の方を向いた対人業務へと個人個人の薬剤師は奮闘していると思います。
奮闘とは良い言い方かもしれませんが、どうにかあがいています。
僕もその一人です。
一つ一つ患者さんに合わせた服薬指導をしています。
調剤基本料1の算定には、薬剤服用歴の記録について、継続的な薬学的管理及び指導の記載が求められているが、6カ月以内の再来がなく、スポット的な利用も約半数に上る。
「政策立案に資するレセプト分析に関する調査研究 」 より
疾患も良くなったり悪くなったりするので来局時にもう病院にかからないという判断はできません。
レセプトの紙面上ではわからないことだってあります。
中には薬を取りにきて服用してから後日薬局に電話や直接来局し相談する方もいます。
ただ、調剤基本料および薬剤服用歴管理指導料については地域医療貢献の実績に応じた評価はしてもいいと思います。
国は24時間対応の調剤薬局や服薬情報の一元的・機能的把握が本来ある調剤薬局や薬剤師の姿だと患者のための薬局ビジョンで強く示しています。
2020年3月の調剤報酬改定はかなり厳しい査定を受けると思います。
そのビジョンに近づくように日々の薬剤師としての仕事の積み重ねだと思います。
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