クオールHDは5月15日に決算を発表しました。
目次
クオールHDは大きく保険薬局事業とBPO 受託事業の2 つの事業からなっています。
まずは保険薬局事業から見ていきたいと思います。
クオールの特徴はマンツーマン薬局を経営方針として掲げ、医療機関とクオール薬局がマンツーマンの関係になれる薬局づくりを目指しています。
大きな病院や基幹病院の門前薬局の数は大手調剤薬局と比較して少ないです。
クオールHDのもう一つの特徴でもありますが、ローソン、ビックカメラ、JR西日本グループと提携しています。
調剤薬局とは別の顧客を確保するため一般用医薬品を備えた薬局を設置し人通りの多い立地で不特定多数の顧客を新たなターゲットとしています。
ローソンクオール薬局は「街ナカ薬局」、ビッグカメラの店舗は「駅チカ薬局」、JR西日本と提携し大阪駅などの構内の薬局の駅クオール薬局「駅ナカ薬局」とみなし、新たな市場を開拓しています。
BPOとはBusiness Process Outsourcingの略で業務の一部を継続的に外部の専門的な企業に委託することです。
製薬会社にMR を派遣するCSO事業や、治験関連事業、薬剤師などの医療従事者の派遣紹介事業などを行っています。
クオールHDの全体の売上高を見たいと思います。
売上高144,783百万円で前年同期比0.5%減少しました。
保険薬局事業は、売上高は1341億2200万円前年同期比0.7%減でBPO事業は売上高106億6000万円前年同期比2.2%増となりました。
保険薬局事業の減益の理由は調剤報酬・薬価改定とM&Aの成約のタイミング遅れにより売上計画未達とクオールHDは言っています。
調剤薬局事業では1年間で新規出店、子会社による取得などで67店舗増えましたが、
閉店等により19店舗減少し、グループ全体の期末店舗数は766店舗です。
ただ、クオールHDは5月16日に2019年4月のマンスリーレポートを発表した際には調剤報酬は前年同月比25.0%増、処方箋応需枚数は18.2%増と好調です。
前年の遅れていたM&Aが成約したのだと思います。
つぎに営業利益を見ていきたいと思います。
営業利益7,050百万円で前年同期比22.4%減少しました。
保険薬局事業の営業利益は63億4900万円で前年同期比26.6%減、BPO事業の営業利益13億6600万円前年同期比1.8%増となりました。
日本調剤でも書きましたが
医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドラインが平成3 0 年1 月2 3 日に通知され卸売販売業との価格交渉が難しくなったのが背景にあります。
2019年3月期決算の大手調剤薬局の営業利益は減益と考えていいと思います。
BPO事業は主力であるCSO事業でMRの育成や積極的な営業により契約数の増加で営業利益が増益したと考えられます。
GE変更率(クオール単体数量ベース):78.1%
2018年10月、「処方せん送信アプリ」のリニューアル
薬局に行く前に処方せんを撮影し、受取希望の薬局へ送信することにより、事前に薬の準備ができ、薬局での待ち時間短縮につながる取り組みをしています。
大手チェーンにとってはM&A の対象から外れるような調剤薬局でも、クオール薬局はマンツーマン薬局を経営方針として掲げているのでもっとM&Aを加速していくのではないかと見ています。
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