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2020 年1 月、ニプロESファーマはアスベリン製剤の過量服用、処方誤り、調剤誤りをしないよう注意喚起しました。
「アスベリン製剤(一般名:チペピジンヒベンズ酸塩):鎮咳剤」 につきましては、過量服用ならびに処方誤り、調剤誤りの事例報告が年20〜30 件程度報告されております。
過量服用や処方・調剤誤りは健康被害を引き起こすリスクがあります。「アスベリン製剤」を処方・調剤いただく際には、今一度、添付⽂書の用法・用量をご確認いただき、用量が最⼤量を超えないようご配慮賜りますようお願い申し上げます。
また、特に小児の患者様が1 回分を適正に服用されるべくご指導いただきますようお願い申し上げます。
アスベリン錠10、アスベリン錠20、アスベリン散10%、アスベリンドライシロップ2%、アスベリンシロップ0.5%、アスベリンシロップ「調整用」2%の過量服用ならびに処方誤り、調剤誤りの注意のお願いより
アスベリン製剤の1日量はそれぞれ以下になります。
1日量剤形換算
| 1歳未満 | 1歳以上3歳未満 | 3歳以上6歳未満 | 成人 |
アスベリン錠10 | − | − | − | 6〜12錠 |
アスベリン錠20 | − | − | − | 3〜6錠 |
アスベリン散10% | 0.05〜0.2g | 0.1〜0.25g | 0.15〜0.4g | 0.6〜1.2g |
アスベリンドライシロップ2% | 0.25〜1g | 0.5〜1.25g | 0.75〜2g | 3〜6g |
アスベリンシロップ0.5% | 1〜4mL | 2〜5mL | 3〜8mL | 12〜24mL |
アスベリンシロップ「調剤用」2% | 0.25〜1mL | 0.5〜1.25mL | 0.75〜2mL | 3〜6mL |
アスベリン錠10/アスベリン錠20/アスベリン散10%/アスベリンドライシロップ2%/アスベリンシロップ0.5%/アスベリンシロップ「調剤用」2% インタビューフォームより
アスベリン散10%とアスベリンドライシロップ2%、アスベリンシロップ0.5%とアスベリンシロップ「調剤用」2%はそれぞれ有効成分の含量が違います。
アスベリンシロップ「調剤用」は4 倍に希釈し使用します。
アスベリン錠10、アスベリン錠20、アスベリン散10%、アスベリンドライシロップ2%、アスベリンシロップ0.5%、アスベリンシロップ「調整用」2%の過量服用ならびに処方誤り、調剤誤りの注意のお願いでは子供の誤飲、アスベリン散の処方誤り、アスベリンDS2%と間違えてアスベリン散10%を調剤した事例を紹介しています。
ヒヤリ・ハット事例収集を見てみると事例が色々あります。
アスベリンシロップ0.5%の1歳以上3歳未満の1日量は2〜5mLです。
小児科の処方が多い調剤薬局や日頃からアスベリンシロップを調剤している人にとってはアスベリンシロップを測る量が少ないという感覚があります。
アスベリンシロップ「調剤用」2%は3〜6歳未満では0.75〜2mLです。
アスベリンシロップ0.5%とアスベリンシロップ「調剤用」2%は濃度が違います。
アスベリンシロップシロップ「調剤用」2%は,通常,4 倍に希釈します。
この事を知っているのと知らないとでは監査する危機感が違います。
アスベリンドライシロップ2% の3歳以上6歳未満の1日量は0.75〜2gです。
病院での処方入力の際に1.3gを誤って0.3gで入力したとしています。
今回は年齢や体重で考えても少ない量だと気付かないといけないですね。
アスベリン錠20mgとするところを、アスペノンカプセル20mgと入力ミスという報告もあります。患者への聞き取りなどで情報を収集することにより、処方に誤りがないか確認していくことが大切です。
アスベリンドライシロップ2%は1歳以上3歳未満の1日量は0.5〜1.25gです。
アスベリンDS2%が0.25gって少ないですね。
ここで、アスベリンDS2%ではなくアスベリン散10%ではないかと疑問に思うことが大切です。
ヒヤリ・ハット事例収集参照
小児科で使用する粉薬などは年齢換算、体重換算と色々あります。
小児薬用量換算表を調剤室の壁に貼り、年齢と体重を必ず確認してから調剤する事をおすすめします。
アスベリン製剤は年齢換算で承認をとっている為、体重換算の事は添付文章には書いていません。
ただ、ニプロES ファーマに問い合わせたところ2mg/kg/dayを一つの目安として参考にしてくださいと回答を頂きました。
アスベリン散10%、アスベリンドライシロップ2%、アスベリンシロップ0.5%、アスベリンシロップ「調整用」2%などはそれぞれ濃度も違いますし、1日量が違います。
一つの目安になると思います。
ただ、一つの目安なので調剤や監査する際は必ず年齢換算で確認してください。
アスベリンシロップ0.5%、アスベリンシロップ「調整用」2%は懸濁液であるため,調剤する際は軽く振盪します。
その際、強く振盪すると発泡しますのでメスシリンダーなどで測れなくなります。
アスベリンシロップ0.5%、アスベリンシロップ「調整用」2%は他剤と配合すると沈殿が生じる可能性があります。
軽く振盪し,均一化させて服用するように服薬指導する事をおすすめします。
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